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武田薬の糖尿病治療薬、膀胱がんリスク高める恐れ=米当局

[ワシントン/東京 16日 ロイター] 米食品医薬品局(FDA)は15日、武田薬品工業<4502.T>の糖尿病治療薬「アクトス(Actos)」について、同剤を1年以上服用した場合、膀胱(ぼうこう)がんにかかる危険性は高まる可能性があるとし、同情報をラベル記載項目に追加するとの判断を示した。

 同剤については、フランスの医薬安全当局が9日、服用により膀胱がんにかかるリスクが多少高まるもようだとして、新規患者への投与を停止する決定を下したばかり。ドイツも同様の決定を行っている。今回のFDAの決定は、膀胱がん患者はアクトスを使用するべきではないとしているものの、新規患者への処方を禁止したフランス・ドイツ両国の対応とは異なっている。

 FDAの判断を受け、武田は同社の北米子会社がアクトスの処方箋情報を更新するためFDAと調整している、とのコメントを発表した。そのうえで、アクトスとアクトス関連薬剤へのコミットメントは変わっておらず、アクトスによる治療効果と糖尿病治療薬としての重要性に対し自信を持っているとしている。

 武田は、日本の厚生労働省に対して、FDAの判断について報告を行っている。

 アナリストからは、センチメントにとってはネガティブなものの、武田の収益に大きな影響を及ぼすものではないとの見方が多く出ている。ジェフリーズ証券シニアバイスプレジデントの熊谷直美氏は「フランスとドイツの措置に比べて非常にマイルド。この問題のみだと、あまり大きな影響はない。直ちに売り上げに影響が出るとは言えない」と指摘する。

 アクトスは、特許切れに伴い米国において2012年8月から後発薬が発売され、売上高が急激に減少することが予想されている。バークレイズ・キャピタル証券アナリストの関篤史氏は「配当利回りを用いて武田の目標株価を算出しているが、アクトスは12年8月以降に売上高激減が予想されることから配当予想には影響を与えない」とし、12カ月の目標株価3900円を継続している。

 シティグループ証券の山口秀丸氏は16日付のリポートの中で「2010年9月にすでに発表済みの情報であり、フランス政府のアクションを受けてFDAのスタンスを再度発表したものと考えられる」としたうえで「今回のFDAのアップデートはむしろ、不安の増大を防ぐという意味でポジティブだと考える」との見方を示している。

 2011年3月期のアクトスの連結売上高は3879億円で、武田の全売上高の約27%を占めている。地域別では、日本が479億円、米国が3062億円、欧州が295億円などとなっている。 

 FDAは10年計画の疫学研究のうち、5年分の暫定的な研究結果を分析。その結果、アクトスを最も長期間服用した患者群および蓄積投与量が最も多い患者群において膀胱がんにかかるリスクが上昇したと指摘した。ただ研究全体からは、アクトスが膀胱がんリスクの上昇を引き起こしているとは結論付けられないとした。

 FDAでは今後もさらに研究を続け、フランス当局の研究結果も検討するとした。

 欧州医薬品庁(EMA)は、20日から医薬品委員会(CHMP)がアクトスの問題について協議を行うとしており、欧州全体での対応などが発表される可能性がある。ジェフリーズ証券の熊谷氏は「欧州でのレビューでどうなるかは分からない。FDAへのインパクトもありえる。市場はすっきりしない状態」と指摘している。

 アクトスに対するFDAの判断のニュースを受け、16日の東京株式市場で武田株は売りが先行している。午後1時現在、前日比2.02%安の3635円近辺で推移している。
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