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複数のウイルスに効く新薬開発

 人間や動物の細胞に感染するさまざまなタイプのウイルスを探し出して殺してしまう新しい薬が発表された。11種の哺乳類の15種類のウイルスを殺せるという。冬の鼻風邪の原因ウイルスから命に関わる病気を引き起こすウイルスまで、1つの薬で幅広いウイルスに対する効果が示されたのは初めてのことだ。

 研究論文の共著者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所および同大学比較医学部門に所属するシニアスタッフ科学者であるトッド・ライダー(Todd Rider)氏は次のように話す。「数十年前の抗生物質の発見と製造は、細菌感染の治療法に革命をもたらした。今回の発見が、同じように、ウイルス感染の治療法に革命をもたらすことを期待している。この治療薬は、風邪やインフルエンザのウイルスから、HIV、肝炎ウイルスなどのより深刻な病原体、さらにはエボラや天然痘などもっと致死率の高いウイルスまで、すべてをカバーする」。

◆打ち倒せないエイリアンのようなウイルス

 細菌感染に対しては数多くの治療薬があるが、ウイルスと戦える薬はほとんどない。これまで開発されてきた抗ウイルス薬は、1種類のウイルスだけを標的とする非常に限定的なものだ。しかしウイルスは簡単に変異し、その薬に対する耐性を獲得してしまう。そこでライダー氏らは別のアプローチを試みた。体内に自然に存在する防衛メカニズムを使って働く新薬を作り出したのだ。

 ウイルスは、「いわば映画『エイリアン』に出てくるエイリアンのように」生きていると、ライダー氏は言う。「細胞に入り込み、細胞内部で自己複製し、ついには細胞を食い破って」殺してしまう。

 ウイルスは細胞を乗っ取る際に、長い二本鎖RNAと呼ばれる複雑な核酸を作り出す。これがウイルスの化学的活動をコントロールする。人間の健康な細胞は、このような二本鎖RNAを作らない。

 人間の身体には、これを利用してウイルスに対抗する防衛システムが備わっている。ウイルスの二本鎖RNAに嵌り込むタンパク質を作り、ウイルス自体が自己複製できないようにしてしまうのだ。ところが、多くのウイルスは進化して、こうしたタンパク質を無効にしてしまう。

◆2つの武器を組み合わせた新薬

 ライダー氏の研究チームは、体に自然に備わった防衛タンパク質と、細胞の自殺スイッチを入れる別のタンパク質とを組み合わせた薬を開発した。人間のすべての細胞にはこのような自殺スイッチが付いている。このスイッチは普通、細胞がガン化し始めたときに入るとライダー氏は説明する。

 ペンシルバニア州にあるバックネル大学の分子ウイルス学者マリー・ピゾーノ(Marie Pizzorno)氏は、この薬を神話に出てくるケンタウロスにたとえる。「(ケンタウロスの下半身の)馬の部分にあたるのは、人間が通常作っているタンパク質の一部で、ウイルスが作る長い二本鎖RNAを認識する機能を持つ。(上半身の)人間の部分は、細胞死のプロセスを開始するものだ」。

 DRACOと名付けられた新薬は、体内で長い二本鎖RNAを含む細胞、つまり確実にウイルスに感染している細胞を探す。そして、感染した細胞を見つけたら、その細胞に自己破壊命令を出す。

 人間の体が自分からこの2種類のタンパク質を組み合わせることはないため、最も適応性の高いウイルスでも、薬として組み合わされたこのタンパク質の裏をかくことはできないだろうとピゾーノ氏は話す。ピゾーノ氏はこの研究には関与していない。

 研究チームを率いたライダー氏によると、この薬は、体内で二本鎖RNAを見つけなかったときは最終的に消えてしまい、副作用は残らないという。

◆風邪の治療薬ができるのは10年先

 これまでのところ、この薬は人間を含む11種の哺乳類の細胞で、15種類のウイルスを殺すことができ、しかも毒性を示さないことが確認されている。15種類の中には、デング出血熱やH1N1型の豚インフルエンザを引き起こすウイルスが含まれる。致死量のH1N1ウイルスを注射したマウスは、この薬で100%治癒した。

 現在ほかのウイルスを使ったマウスの実験が行われているが、さらに大型の動物で効果と安全性が確かめられたら、アメリカ食品医薬品局(FDA)が人間の臨床試験を承認するだろうとライダー氏は話す。それでも、「薬局でこの薬を買えるようになるまでには、少なくとも10年はかかる」という。

 このようにまだ先は長いとはいえ、この新薬は有望だとバックネル大学のピゾーノ氏は話している。

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薬で若返る高齢アカゲザルの脳

 近い将来、脳を若返らせる薬が誕生するかもしれない。高齢のアカゲザルにある種の化学物質を投与した結果、脳内のニューロン(神経細胞)の活動が若い頃のように再び活発化したという。この化学物質は、年齢とともにニューロンの「発火」を遅らせる脳内分子を阻害する効果がある。

 研究チームのリーダーでアメリカ、イェール大学の神経生物学者エイミー・アーンステン氏は、「高齢化に伴う認知機能低下の生理学的メカニズムを解明する第一歩だ」と話す。「脳の衰えは避けられないと思っていたが、今回の結果には希望がある。脳内の神経化学的な環境を変化させれば、認知機能の一部が回復する可能性がある」。

◆年齢とともに衰える脳内の“クリップボード”

 脳内の前頭前皮質は、高齢化とともに急速に衰え始める。

 前頭前皮質はさまざまな高次機能をつかさどる部位で、作動記憶(ワーキングメモリー)の維持も含まれる。作動記憶とは、行動に結びついた刺激がない情報を、“心のクリップボード”に格納する機能を指す。

 若い脳は作動記憶を脳内に維持するように、前頭前皮質の各ニューロンが互いに活性化する。「この関係が成立するには、脳内の神経化学的な環境を適切なバランスに保つ必要がある」とアーンステン氏は述べる。

 しかし、人は40~50代に達すると、前頭前皮質に「cAMP(環状アデノシン一リン酸)」というシグナル伝達分子が過剰に蓄積され始める。その影響で、ニューロンの効果的な活性化が阻害され、物忘れや注意力散漫などが生じるようになる。

◆記憶するサル

 アーンステン氏の研究チームは、いろいろな年齢の6匹のアカゲザルを数年間訓練して、単純なテレビゲームの操作方法を教えた。対象のゲームを覚えるには作動記憶を活用する必要がある。

 操作方法を身に付けたサルの脳内に、痛みのない方法で小さなファイバーを挿入、単一ニューロンの活性化状況を記録した。生きている高齢の動物にこの処置が行われたのは初めてである。

 若いサルは刺激のないときでも活性化が頻繁だったが、高齢のサルでは、刺激がないとニューロンの活動があまりみられなかった。

 次に、挿入したファイバーを通して化学物質「グアンファシン」を含む薬を高齢のサルに注入したところ、cAMPの伝達経路がブロックされ、ニューロンの活動が活性化した。

◆薬の効果?

 グアンファシンは現在、成人向け高血圧治療薬の成分として利用されている。また、高齢者の作動記憶を改善する効果の有無を確認する臨床試験も実施されている。

 アーンステン氏は、「グアンファシンがサルの作動記憶を改善することはすでに判明している。サルや人間で繰り返し実験し、同じ結果が得られた」と説明する。「ただし、この薬が“脳の活性剤”として承認されても、記憶の改善がどの程度実現するかはまだ断言できない。“30代に戻れます”などと言い切ることは不可能だ」。

 今回の研究に対しては、暫定的との意見が多い。カリフォルニア大学アーバイン校の学習・記憶神経生物学センターに所属する神経科学者ジェームズ・L・マゴー氏は、次のようにコメントした。「ニューロン活動の回復が記憶の改善をもたらすとは必ずしも証明されていない。薬を脳に直接注入する方法は初めてだが、すぐに臨床に応用できる段階ではない」。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校でアルツハイマー病共同研究(ADCS)プロジェクトを率いる神経科学者ポール・アイゼン氏も同様に、「新たな前進であることは間違いないが、人間の治療にどのような意味を持つのかは明らかではない。“実験対象がサルだから”ではなく、単一細胞記録は脳機能の一部にすぎないからだ」と述べる。

◆そもそも脳の活性剤は必要か?

「そもそも根本的な問題として、高齢化に伴う記憶能力低下に対する薬物治療が必要なのか結論が出ていない」とアイゼン氏は語る。「アルツハイマー病などでなければ、記憶能力が低下しても、十分に埋め合わせできる。例えば、物忘れには単純に“メモを取る”方法が有効な場合もある」。

 一方、研究チームのリーダー、アーンステン氏は、「認知機能低下との戦いは、健康な数多くの高齢者にとって極めて重要な問題だ」と主張する。「財産管理や健康維持、なにより自立した生活を送るために認知機能は欠かせない」。

 今回の研究成果は、「Nature」誌オンライン版に7月27日付けで掲載されている。

脳・心血管の創薬拠点に=臨床加速「世界と競争」―大阪大病院

 大阪大学医学部付属病院は26日、脳・心血管分野の医薬品について、臨床試験と創薬の国内拠点づくりを進めると発表した。大手製薬会社を含む17企業や、北里大など約20の病院・大学と連携。臨床や審査体制を共有してスピードアップを図り、革新的な医薬品開発を目指す。
 沢芳樹同大教授によると、既に脳梗塞や心不全の治療薬など15の医薬品開発に着手。「日本は微量の投薬試験や被験者のリスク管理などの臨床体制が整備されておらず、新薬開発に時間がかかっていた。世界で競争できる医薬品創出を」と話した。

国内初のアルツハイマー貼付剤を新発売

 ノバルティスファーマと小野薬品工業は7月19日、アルツハイマー型認知症治療薬としては国内初の貼付剤となるイクセロンパッチ/リバスタッチパッチを新発売した。国内のアルツハイマー型認知症治療薬は1999年にエーザイのアリセプトが発売されて以降、長らく1剤体制が続いていたが、今年3月にヤンセンファーマと武田薬品工業がレミニール、6月に第一三共がメマリーを発売。これらはいずれも経口剤で、貼付剤のイクセロンパッチ/リバスタッチパッチの新発売により、4剤体制となり、大きく選択肢が拡大した。

 ノバルティスファーマと小野薬品工業はイクセロンパッチ/リバスタッチパッチの特長について、投与方法が簡便で、貼付の有無などを目で確認できることから、介護者の服薬介助の負担が軽減されることや、患者の服薬順守、服薬継続につながることなどを挙げている。また、皮膚から薬剤を徐々に吸収するため、血中濃度の急激な上昇を抑え、悪心、嘔吐といった消化器症状が軽減されるという。

 軽度から中等度に用いられ、用法・用量は通常1日1回4.5mgから開始し、原則4週ごとに4.5mgずつ増量する。維持量は18mg。
 アリセプトやレミニールと同じ作用機序(コリンエステラーゼ阻害剤)であるため、これらとは併用できないが、中等度から高度に用いられ、作用機序が異なるNMDA受容体拮抗薬のメマリーとは併用できる。

東大先端研と富士通、スパコン活用で「IT創薬技術」の共同研究を開始

東京大学 先端科学技術研究センターと富士通は10日、抗がん剤などの候補となる低分子化合物を効率良く創出できる、新しい「IT創薬技術」の共同研究を開始したことを発表した。

 共同研究を行う新しい「IT創薬」とは、化合物設計の段階でシミュレーション技術を活用し、同定したタンパク質の構造からコンピュータ上で効果のある化合物構造を仮想的に設計し、効果の高い新規化合物を短時間、低コストで創出する方式。従来の技術では、患者に薬を投与した生体の環境を想定したシミュレーションは困難だが、次世代創薬手法として期待されている。

 共同研究では、先端研が研究している「疾患を引き起こす原因と考えられるタンパク質の情報」を基に、富士通が開発したコンピュータ上で実際の実験に匹敵するほど高い精度で薬効の予測、選別が可能な、低分子設計ソフト「OPMF(オー・ピー・エム・エフ)」と、高精度結合活性予測ソフト「MAPLE CAFEE(メープル・カフェ)」を活用して低分子化合物を設計する。その後コンピュータ上で設計した化合物について、先端研で生物・化学実験を実施して評価する。

 これにより、従来では難しかった実際の実験に匹敵するほど高い精度で、医薬品の候補となる低分子化合物の設計、および設計された化合物が疾患の原因となるタンパク質と、どのように作用するかのシミュレーション評価が可能となる見込みだ。先端研と富士通は、今後3年間で富士通の技術と先端研が研究している「疾患を引き起こす原因と考えられるタンパク質の情報」などのバイオ情報、化学実験技術やノウハウを組み合わせた新しい「IT創薬」の技術を確立させるという。

 先端研は、昨年富士通製のブレードサーバ「PRIMERGY(プライマジー) BX922 S2」によるPCクラスタ型スーパーコンピュータ(3,600CPUコア)を導入し、がんの再発・転移の治療薬となる抗体医薬品の創出を目的とした研究を進めてきた。スーパーコンピュータを活用した分子動力学シミュレーションにより、副作用の少ない画期的な抗体医薬品の研究を進めるとともに、従来の実験では得られなかった分子レベルの物質の動きを解明してきた。一方、富士通は20年以上にわたって計算化学ソフトウェアの研究開発と販売を継続しており、2004年にはバイオIT事業開発本部を発足しIT創薬への取り組みを開始し、自主研究および国内外の企業、大学、研究機関との共同研究などを通して、先進的なIT創薬技術を開発してきた。

 低分子化合物は、分子量が小さく医薬品の候補になりうる化合物。市販の医薬品の多くで使われており、化学合成により安価で大量に製造することができる。さまざまな化学構造からなるため、新しいIT創薬技術を導入することにより、病気の原因となるタンパク質に選択的に作用する従来にはない画期的な医薬品の開発が期待されている。

 両者は、これまでは対応できなかった疾患領域に対する創薬開発の基盤となる技術を確立し、3年間での低分子化合物創出を目標としている。共同研究により、抗がん剤の候補となる低分子化合物が創出できれば、薬効の高い抗がん剤の開発が可能となる。さらに、新しいIT創薬技術が確立、応用されることで、今後さまざまな疾患に対する新しい治療薬の創出ができると期待される。なお、共同研究は2011年6月から2014年3月の期間。先端研 児玉龍彦 教授 他5名と、富士通 バイオIT事業開発本部IT創薬推進室(松本俊二 室長)他10名の体制で、東京大学先端科学技術研究センター内に富士通分室を開設して行う。
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